なにやってんの私【幸せになることが最高の復讐】


「どうした? 元気ないね」

「そんなことないですよ。最近レッスンが半端なくきつくて」

「またお前のところの店長なんか新しいの考えたの?」

「うん、まぁ、そんなとこですね」


 野々宮さんとのことは一切ふれずに、いつだって私のことを気にかけてくれる。


 私はあなたに何もしてあげてないのに。



 せっかく私たちが最初に出会ったバーで食事をしているのに、何を食べたのかなんて正直覚えていない。


 ただ、萩原さんは一人お酒を飲んでいて、ピッチも早かった。


「どうしたんですかっ? ちょっと飲みすぎじゃないですか? ......何かあったなら話聞きますよ」

「ん?」

「なにか...あったなら私話聞きますよ。それくらいしかできないけど。でも......力になりたいな」


 萩原さんの手の上に手を重ねた。

 今日初めて触った手は、ほんのりあったかかった。


 ちゃんと話して。お願い。


 本当のことが聞きたい。

 頼りないとは思うけど、でも私にも少しはプライドがある。
 私のせいでやりたいことができないなんて、そんなのムカつく。

 もし私がいなかったら完全にゴーするでしょ?


 答えは出せないかもしれないけれど、心のモヤモヤは半分にしてあげられると思う。


 だから、お願い。


 ちゃんと言って。


 なんでも話してほしい。




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