なにやってんの私【幸せになることが最高の復讐】
「どうしよう、私なにやってんだろう...ほんとなにやってんの私」
「お嬢ちゃん、だから僕に助けさせてください」
「...おじさまは誰なんでしょうかいったい。知らない人に助けられることほど怖いものはないんですけど」
「とにもかくにも、重複しますが、お嬢ちゃんはその男のことを思ってしたことで、野々宮につぶされそうになっていたスタジオを守るために自分が犠牲になったってことかな? 秀太郎が誰かも分からず...そうですね、もし知っていたら秀太郎に相談していたのかな?」
「...してたと...思います。知っていればたぶん。きっと」
マスター?
マスターの方を向くと、にたにたしながら腕なんか組んで仁王立ちしてて、さっき『秀太郎、どうする? 呼ぶ?』とか言ってた言葉を思い出した。
なに、このひとたち。
「そして、その男の口から聞くまでは浮気なんかしていないと信じていると?」
「......どうしようもないバカだって思ってます。てか気づきましたけど、はい、私まだ萩原さんのこと信じてます。おかしいですよね、自分でもわかってます」
「元カレ? と一緒になるって啖呵切ったのに?」
「最悪ですよね。あんなに私のことを気にかけてくれて、私のことを思って行動してくれてた人を私、簡単に傷つけちゃった。真も最後まで反対してたんです。あかりちゃんだってそう。分かってなかったのはわたしだけ」
「今でも好き?」
「.........好き......」
「分かりました」
そう言うと、ゆったりとグラスに口をつけ、残りのウィスキーを飲み干した。
「夏七、入ってきなさい」
「え? 私?」
おじさまに呼ばれてびっくりした。だって、さっきまでお嬢ちゃんだったのに、いきなり『なつな』って呼ばれたから。名前なんて言ってない。
でもおじさまは空になったグラスを傾けて氷をからからまわしてるだけで、マスターのほうを見たら、下を向いて次のお酒を作っていて、口角だけ上げてニッて笑ってて、その笑った顔も、なんだか似ていて、どういうわけか悲しくなった。