なにやってんの私【幸せになることが最高の復讐】
しばらく沈黙が流れ、私は何があったんだかよく分からず黙っているしかない。
私の回りの空気だけぴりぴりしていて、バーの中の空気は変わりなくゆるい時間を流している。
ドアが開く音が聞こえて、外の空気が中の様子を伺うようにドドっと入り込んできて、そっちを向けば、そこには一番会いたかった人がいて、思わず立ち上がって「はぎわっ......」名前を途中まで呼んだけど、でもその後ろから現れたのは野々宮さんで、言葉を失った。
一番会いたかった人と、一番会いたくない人、
同時に会うなんて、信じられない。
相変わらずきちっとしたスーツ、その表情は言葉で表しにくくて、なんていうかたぶん私たち、同じような顔してると思う。
「あーあ、なんかバカみたい。面白くなーい。せーっかく立ててたシナリオが台無しじゃない。こんなの全然私の思った通りじゃないじゃん。最低」
野々宮さんが放った一言で、場の空気が動きだして、いろいろな音が耳に入ってくる。
背伸びなんかして、すたすた歩いておじさまの隣にどかっと座って『ビール』とか言ってる。
「ビールじゃないだろう京子、その前に言うことがあるだろう。お前のせいでみんなが迷惑してんだぞ。またお前は人を振り回して傷つけてる」
「なんで私のせいなのよ。だれも傷なんてつけてないわよ」
「どうしてお前は昔から......」
「始まった始まった、パパのお説教なんてもう聞きたくないの。なんでここに来たのよ、私のお祝いなんじゃないの? お説教はやめて」
それ以上話さないで! とばかりに右手を挙げておじさまの言葉を遮断した。