狡猾な王子様
「初対面なのに、そんなご迷惑は……」


「通り道ですから」と言ってみても戸惑いを見せる瑠花さんに、英二さんがフワリと笑った。


「送って貰いなよ、瑠花ちゃん。これから雨も降るみたいだし、少しでも早く帰った方がいいよ」


「でも……」


「本当は俺が送ってあげたいんだけど、夜の仕込みがギリギリになりそうなんだ。瑠花ちゃんになにかあったら俺が理人に怒られるし、俺を助ける為にも。ね?」


悪戯な笑みでウインクをした英二さんに、私と瑠花さんは小さく吹き出した。


「じゃあ、お言葉に甘えて。よろしくお願いします」


「よろしくね、冬実ちゃん」


「はい!」


笑顔になった瑠花さんと微笑む英二さんに、任せてくださいと言わんばかりに満面の笑みを返し、三人で駐車場に向かう。


「すみません、小汚い車ですけど……」


「そんなことないですよ」


助手席に座る瑠花さんにはどう見ても不釣り合いな車内だけど、彼女はそんなことを気にも留めていないように破顔した。

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