狡猾な王子様
「ふうちゃん、痩せたんじゃない?」


「え?」


言われ慣れていない言葉に、目を小さく見開いた。


今まで一度も言われたことがなかったのに、たった半日程で三人もの人から『痩せた』なんて言われるなんて。


信じられなくて、だけど嬉しくて。


少しだけ気恥ずかしさを感じながらも、思わず頬が緩んでしまった。


「頬っぺたの辺りとか、ちょっとすっきりしたねぇ。ダイエットでもしたの?」


「えっと、実はちょっとだけ……」


「やっぱり!痩せたから、前にも増して可愛くなったよ」


「そんな……」


ニコニコと笑うおばさんに首を横に振りながらも、自分に投げ掛けられた言葉たちに心が舞い上がる。


「たしかに痩せたなぁ、ふうちゃん。こりゃ、恋でもしたかぁ?」


「ちっ、違います!ただ、太り過ぎだったから痩せたくて……」


「ふうちゃんをからかうんじゃないの!」


ガハハッと豪快に笑ったおじさんの背中を、いつものようにおばさんがバシッと叩いた。

< 130 / 419 >

この作品をシェア

pagetop