狡猾な王子様
そのあとも散々褒めてくれたおばさんに顔を真っ赤にしながらも、笑顔で「ありがとう」と言ってからお店をあとにした。


弥生ちゃんやお母さんに『痩せた』と言われた時も充分嬉しかったけど、他人に言って貰えるとまた違った嬉しさがある。


信号待ちでワンサイズ小さくなったまだ新しいデニムを見下ろすと、さらに喜びが込み上げて来て笑みが零れた。


二十歳を過ぎてから一番痩せている今、やる気がグングンと湧いて来る。


過去に何度もダイエットに失敗して落ち込んでいた自分自身に、この喜びを教えてあげたいくらい。


今まではいつも、最後に自分を甘やかせてしまうことで挫折していたけど、今度こそ目標体重に辿り着き、それをキープできるようにしたい。


だって……。


ワンサイズ小さなデニムが穿けるようになった今、服を買いに行く度に惨めになっていたあの頃には絶対に戻りたくないと、心から思うのだ。


そんなことを考えていると、木漏れ日亭が見えて来た。

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