狡猾な王子様
「はい、どうぞ。今日はアッサムにしてみたんだ」


「あ、いただきます」


ティーカップの中ではミルクティー色をした液体が僅かに揺れていて、優しい香りが鼻先をフワッとくすぐった。


アイスティーばかりを飲んでいたのは、もう二ヶ月近くも前のこと。


最近は毎回ホットで出される紅茶に、改めて冬の訪れを感じた。


「もっとミルク足した方がいいかな?」


「いえ、すごく美味しいです。ミルクの加減がちょうどよくて、甘過ぎないから何杯でも飲めそうなくらいですよ」


素直な感想を告げると、英二さんがクスッと笑った。


「お代わりもあるよ」


「あ、そういう意味じゃ……」


僅かに頬が熱くなるのを感じて、慌てて首を横に振ったけど……。


「わかってるよ。でも、遠慮しないで」


柔らかく微笑んだ英二さんに釣られて、すぐにフワリと笑みが零れた。


「ありがとうございます」と頷くと、彼は瞳を緩めたまま段ボールの中の物を出し始めた。

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