狡猾な王子様
「これ言っちゃうとちょっとセクハラかな、って思ったんだけどね」


英二さんが本気でそう思っているわけではないとすぐに気付いたのは、彼が零した笑みにわざとらしく自嘲が含まれていたから。


「でも、最近本当に痩せて可愛くなったと思うし、色々頑張ってるんだろうな、って」


自分に向けられているとはにわかに信じ難い言葉たちに、今にも涙が込み上げて来そうになる。


「それに、ほら。女の子って褒められるとますます可愛くなるし、やる気も出るっていう子が多いからさ。今日こそは言おうと思ってたんだよね」


いつの間にか手を止めていた英二さんが、私を真っ直ぐ見つめてニコニコと笑っている。


振られてしまったとは言え、好きな人にこんな風に言われて嬉しくないはずがない。


「まぁ、冬実ちゃんはもともと可愛いけどね」


「……っ!」


社交辞令だと思いながらも言葉に詰まって、慌てて赤くなった頬を両手で隠すと、すぐに柔らかい笑顔が返された。

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