狡猾な王子様
私にピッタリと寄り添う南ちゃんを怪訝に思ったのは、ほんの束の間のこと。


「それよりさ、なにがあったの?もしかしなくても、好きな人となにかあったんでしょ?」


すぐにそんな風に訊かれて、思わず目を見開いて足を止めてしまった。


「あ、止まっちゃダメだよ、ふうちゃん!秋に聞こえちゃう」


声を潜める南ちゃんに腕を引っ張られて、引きずられるようにしながら再び歩き出す。


「ね、なにがあったの?きっと、例の好きな人となにかあったんだよね?もしかして、『痩せたね』とか言われたの?」


矢継ぎ早に質問を繰り出す彼女に、唖然として言葉を失う。


たしかに、私の気持ちはいつの間にか春ちゃんたちにバレていたけど……。


「なっ、なんで南ちゃんまで……」


南ちゃんまで私に好きな人がいることを知っているなんて、一体なにがどうなっているのだろう。


込み上げて来る恥ずかしさよりも今はそのことが気になって、恐る恐る彼女に視線を遣った。

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