狡猾な王子様
「……ひとつだけ言わせて」
鈴の音のような声が響き、みちるさんが英二さんを真っ直ぐ見つめた。
相変わらず顔を背けたままの彼の視線が彼女のものと交わることはなかったけど、それでも構わないと言うように綺麗な唇が動く。
「皆、あなたが帰って来ることを望んでいるわ。おばあ様だって……」
そこで瞳を伏せたみちるさんに反し、英二さんの目が小さく見開かれた。
彼にとっては予想外のことだったのか、私にはその真意はわからないけど……。
「……俺にはもう関係ないよ」
零された声音がさっきよりも和らいでいたことによって、明らかに動揺しているのだとわかった。
ただ、みちるさんはこれ以上はなにも言う気がないのか、英二さんの顔を一瞥したあとでこちらを向いた。
真っ直ぐな瞳に、なぜだか動けなくなってしまう。
程なくして、みちるさんは私に申し訳なさそうな笑みを浮かべながら綺麗な会釈をし、英二さんに「ご馳走さま」とだけ言い残して出て行ってしまった。
鈴の音のような声が響き、みちるさんが英二さんを真っ直ぐ見つめた。
相変わらず顔を背けたままの彼の視線が彼女のものと交わることはなかったけど、それでも構わないと言うように綺麗な唇が動く。
「皆、あなたが帰って来ることを望んでいるわ。おばあ様だって……」
そこで瞳を伏せたみちるさんに反し、英二さんの目が小さく見開かれた。
彼にとっては予想外のことだったのか、私にはその真意はわからないけど……。
「……俺にはもう関係ないよ」
零された声音がさっきよりも和らいでいたことによって、明らかに動揺しているのだとわかった。
ただ、みちるさんはこれ以上はなにも言う気がないのか、英二さんの顔を一瞥したあとでこちらを向いた。
真っ直ぐな瞳に、なぜだか動けなくなってしまう。
程なくして、みちるさんは私に申し訳なさそうな笑みを浮かべながら綺麗な会釈をし、英二さんに「ご馳走さま」とだけ言い残して出て行ってしまった。