狡猾な王子様
息を小さく吐いて、自嘲混じりの微苦笑を零す。


「別にね、力になろうとか、自分になにかできるとか、そんな風に思ってるわけじゃないんだけど……。今日の英二さん、なんだか寂しげだったから……」


ダイエットを続けていたところで、私みたいな冴えない恋愛初心者が英二さんのような男性と“どうにかなる”なんて、やっぱりどう考えても無理がある。


一応それを理解しているつもりでいる私は、開き直りにも似た形ではあるけど、心のどこかではその現実を受け入れているような気がする。


ただ、今日のことで英二さんの様子が気になっているのも、紛れもない事実。


だから、心は相変わらず重苦しいのに……。


「ちょっと心配なんだ……。だって、私には秋ちゃんみたいに傍にいてくれる家族がいるけど、英二さんには寂しい時に傍にいてくれる家族がいないみたいだから……」


あんな場面を見てしまったあとでは、仕事を終えた英二さんがひとりになってしまうところを想像すると、どうしても心配だった。

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