狡猾な王子様
あくまで仕事だけど、クリスマスイヴに英二さんに会えるのは嬉しい。


残念ながらクリスマスには注文が入っていないし、そもそもイヴに彼と会えるからと言ってもなにもないけど……。


それでも、冬の一大イベントの日に好きな人に会えるとなれば、例え仕事だったとしてもつい心が弾んでしまうものだと思う。


「ふーん」


「あ、えっと……ありがとう」


どこか冷ややかな反応をした秋ちゃんに慌てて笑みを向けたけど、口もとが僅かに引き攣ってしまった。


そしてもちろん、鋭い秋ちゃんがそれを見逃すはずはない。


「お前も懲りねぇな」


「うっ……」


呆れたようにため息をつかれて、思わずマヌケな声が漏れた。


「あんなエセ臭い男のどこがいいんだか」


「英二さんはエセ臭くなんかないよ!」


「あー、はいはい。そもそも、お前振られたんじゃねぇの?」


「なっ……!?」


確信めいた疑問につい大声を上げてしまったけど、驚きのあまりすぐに言い返せることはなかった。

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