狡猾な王子様
「あー、まぁ……あれだ。エセ臭いとは言え、ああいうモテそうな男は高嶺の花みたいなもんだろ」


歯に衣を着せない秋ちゃんらしくない言い回しは、諦めるように諭すためのものだと気づく。


「なんつーか、お前のはそういう奴への憧れに近いんじゃねぇの?あいつ、女の扱いに慣れてそうだったし、お前はあんまり女の子扱いされてこなかったから、慣れない状況のせいで意識してるっつーか……」


秋ちゃんの言葉は、もっともだと思った。


最初は憧れみたいなものだったと思うし、こんな私を女の子扱いしてくれる英二さんの優しさが嬉しかった。


家族以外でそんな風に接してくれる異性なんて、今までほとんどいなかったと言っても過言ではないような人生だったから。


だから、とても嬉しくてドキドキして、自分でも気づかないうちに惹かれてしまっていた。


だけど……。


「違うよ。私の気持ちは、そんなんじゃない」


秋ちゃんを真っ直ぐ見つめた私は、今はそうじゃないことをはっきりと否定できた。

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