狡猾な王子様
「お前、仕事辞めてからまともに休んでねぇだろ。たまには息抜きしろ」


「でも……」


家業と言えども、一応は私の仕事。


だから、甘えてしまうのはやっぱり良くないような気がして戸惑っていると、お父さんが目尻を下げて笑った。


「ふう、そうしなさい。お前はいつだって不満ひとつ漏らさないから休みもなく手伝ってもらってるけど、たまには家のことは気にしないで遊んでくるといい」


「お父さん……」


「それに、ふうは秋によくいじめられてるんだから、たまには秋に尽くしてもらえ」


「いじめてねぇだろ」


秋ちゃんはお父さんの冗談めかした言葉に眉を寄せたけど、「いいから行ってこい」とぶっきらぼうに告げた。


「南ちゃん、ふうをよろしく」


「はい」


申し訳なくてまだ戸惑う私を余所に、お父さんと南ちゃんは笑顔で頷き合っている。


「たまにはこういうのもいいじゃない」


お母さんにもそんな風に言われると甘えてもいいのだと思えて、皆の好意を受け取ることにした。

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