狡猾な王子様
結局、私の意見は南ちゃんの可愛い笑顔によって打ち消されてしまい、楽しそうな彼女にメイクをして貰うことになった。


南ちゃんが十五分ほど掛けて施してくれたのは、ナチュラルメイク。


ベースメイクに加え、アイシャドウとマスカラとチーク、そしてツヤのあるグロス。


見た目が透明なグロスは人によって色が微妙に変わるという物らしく、南ちゃんの唇よりも私の唇の方が落ち着いた色合いだったけど、血色が良く見えた。


なによりもあくまで控えめなメイクのお陰で、地味な私にもちゃんと馴染んでいるのがわかる。


「人にメイクしたのって学生の頃以来だけど、我ながらいい感じ!あとで秋に見せようよ!自慢してやるんだー!」


「う、うん、ありがとう」


南ちゃんの勢いに押されながらも微笑んだ私に、彼女は満面の笑みを返してくれた。


そんな表情を見せられてしまうと、最初は戸惑って断ろうとしていたことが申し訳なく思えてしまう。


そんな私を見ていた南ちゃんが、「ふうちゃん」と切り出した。

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