狡猾な王子様
部屋の空気が和らいだあと、南ちゃんが笑顔で口を開いた。


「今まで失敗続きだったけど、今度はちゃんと続いてるじゃない。それって、ふうちゃん自身が努力しないとできないことだよ。だから、ふうちゃんはもう、“私なんか”って思う必要なんてない」


再び背中をポンッと叩かれて、肩にそっと手が置かれた。


「はい、背筋を伸ばして顔を上げて」


「う、うん……」


戸惑いながらも言われた通りにすると、南ちゃんが笑顔で頷いた。


「今日からこの姿勢を保つ癖をつけよう。ふうちゃん、いつも俯いてばかりなんだから」


「え?」


「俯いちゃダメとは言わないけど、俯いてると顔が暗くなりやすいと思うんだよね。だから、これからは前を向いて。ふうちゃんはニコニコしてるところが可愛いんだから、そういうのをもっと見せなきゃ」


“誰に”と問うことができなかったのは、南ちゃんがまだ私の恋を応援してくれていると気づいたから。


その温かい気持ちに応えるように、私は改めて背筋をグッと伸ばした。

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