狡猾な王子様

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それから程なくして、南ちゃんとふたりで家を出た。


彼女が運転する黒い軽自動車の助手席に座る私の手は、英二さんに貰った手袋に包まれている。


初めて手を入れたその中はフワフワで、両手を包み込む柔らかさは彼の優しい雰囲気を思い出させた。


そんな私の心情を見透かすように微笑んでいた南ちゃんに恥ずかしさは拭えなかったけど、彼女と過ごす時間は久しぶりに素直に楽めた。


田舎道をドライブして、都会とは比べ物にならない少ない店舗数のショッピングモール内にあるカフェでお茶をしたあと、南ちゃんが見立ててくれた服を買った。


夜は馴染みの定食屋さんで夕食を済ませ、そこで彼女から秋ちゃんに私を連れ出して欲しいと頼まれたことを聞いた時は、ふたりへの感謝の気持ちでいっぱいになった。


ぶっきらぼうな秋ちゃんらしい優しさは、心配してくれていたことを物語っている。


自分のことをこんなにも大切にしてくれる人たちがいるのに、どうしてずっと“私なんか”と思えていたのだろう。

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