狡猾な王子様
「そんなふうちゃんが諦められないんだから、きっと自分で思ってるよりもずっとずっと好きなんだと思うよ」


南ちゃんの言葉が、胸の奥にずっしりと響いた。


自分でわかっていたはずの事実なのに、改めて人から言われるととても重みがあるように思えたのだ。


「上手く言えないんだけど、告白するとかしないとかじゃなくて……。ふうちゃんは自分のことを頑固だなんて思わずに、その気持ちを大切にしていいんじゃないかな?」


ただ、負の感情は芽生えていなくて、心も落ち着いていた。


「南ちゃん、私ね……」


「うん」


「たぶん、こんなに誰かを好きになったことってないんだ。消極的だから人付き合いは得意な方じゃないし、恋愛経験もほとんどないし。お得意様やご近所さんはともかく、家族以外の異性の前だと緊張して上手く話せないし……」


軽自動車という狭い空間に響くのは、私の声。


だけど、不思議とその声音は心と同様に落ち着いていて、私にしては珍しいことに浮かんだ言葉がスラスラと零れていく。

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