狡猾な王子様
きっと、正論なのだと思う。


ただ、厳しさと冷たさを感じる声音で吐き出された言葉は家族だからこそ出たものなのかもしれないけど、自分の育ってきた環境では想像できない反応に戸惑いを隠せない。


同時に、英二さんが家族のことに触れた時の表情を思い出して、胸の奥がチクリと痛んだ。


「たしかに、そうだと思いますが……」


「あなたを責めているわけではないんですよ」


先ほどまでとは違って少しだけ優しくなった口調は、思わず俯いてしまった私が傷ついたように見えたからなのかもしれない。


「それはわかってます。ただ、私は……」


英二さんのことを少しでも知って欲しくて……。


そう言おうとして、咄嗟に口を噤んだ。


勘当同然で実家を出たとは聞いたけど、英二さんのおばあさんは彼のことを知らないわけではない。


むしろ、英二さんと出会ってからまだ三年にも満たない私よりもずっと、色々なことを知っているはず。


冷静になり始めた私は、ようやくそんな当たり前のことに気づいた。

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