狡猾な王子様
「あっ、あのっ、こんにちは」
英二さんの気怠げな雰囲気に呑まれそうになっていた私は、彼と目が合った直後に思わず視線を逸らしていた。
「ごめんね、寝てた……」
柔らかい言い方なのにまだ掠れたままの声がやけに色っぽくて、鼓動が騒がしくなる。
「三十分だけ仮眠するつもりだったのに、熟睡してたみたいだ」
視界の端で英二さんが少し寝癖の付いた前髪を搔き上げるのが見え、そのどこか無防備な姿にドキドキさせられて頬が朱に染まる。
「もしかして、待たせちゃったかな?」
「いえっ、全然!今来たばかりですから」
裏返りそうな声で答えると、彼がいつものようにフワリと微笑んだ。
英二さんに促されてカウンター席に腰掛けると、彼はミルクパンに注いだ牛乳を火にかけてから顔を洗った。
目の前でなんの躊躇いもなく生活感を纏った姿を曝している英二さんを、まともに見ることができない。
そんな私を余所に、彼は濡れた顔をタオルで拭い、さっぱりとしたと言わんばかりに息を吐いた。
英二さんの気怠げな雰囲気に呑まれそうになっていた私は、彼と目が合った直後に思わず視線を逸らしていた。
「ごめんね、寝てた……」
柔らかい言い方なのにまだ掠れたままの声がやけに色っぽくて、鼓動が騒がしくなる。
「三十分だけ仮眠するつもりだったのに、熟睡してたみたいだ」
視界の端で英二さんが少し寝癖の付いた前髪を搔き上げるのが見え、そのどこか無防備な姿にドキドキさせられて頬が朱に染まる。
「もしかして、待たせちゃったかな?」
「いえっ、全然!今来たばかりですから」
裏返りそうな声で答えると、彼がいつものようにフワリと微笑んだ。
英二さんに促されてカウンター席に腰掛けると、彼はミルクパンに注いだ牛乳を火にかけてから顔を洗った。
目の前でなんの躊躇いもなく生活感を纏った姿を曝している英二さんを、まともに見ることができない。
そんな私を余所に、彼は濡れた顔をタオルで拭い、さっぱりとしたと言わんばかりに息を吐いた。