狡猾な王子様
美味しいと感想を伝えると、英二さんが嬉しそうに微笑んだ。


ミルクティーは何度も淹れて貰っているけど、シナモンが入っている物は初めてで、もしかしたらまた試作品なのかもしれないなんて考えてしまう。


ふと英二さんを見ると、彼は口もとを隠すようにして欠伸を噛み殺していた。


「寝不足ですか?」


「あぁ、ごめんね。昨日はちょっと過去のレシピを見直してたんだけど、気づいたら朝になってたんだ」


自嘲気味の苦笑を向けられて、目を小さく見開いた。


彼が眠そうにしているところなんて見たことがないから、一睡もしていないのではないかと思う。


「やり出すと止まらなくて。ちょうどレシピを纏め直そうと思ってたから、つい夢中になってたんだよね」


「体、壊しますよ……。木漏れ日亭は英二さんしかスタッフがいないですし、それでなくても毎日忙しいんですから」


「……反省してます」


本当に心配しているのに、おどけたように頭を下げた英二さんにつられて、ついつい小さく笑ってしまった。

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