狡猾な王子様
その車とすれ違うまでは一瞬のことで、スピードを出して走ってくる車に驚いて思わずブレーキを踏んだ私に反し、相手は視線を逸らすことすらなく運転していた。
無意識のうちに止めていた息を吐いた瞬間、心臓がドクドクと脈打ち始めた。
すれ違った車には、見覚えがあった。
ブラウン系の可愛らしいフォルムの、軽自動車。
それを見たのは一度だけだったけど、忘れられるはずがない。
みちるさん、だったよね……?どうして?
疑問符が飛び交う頭の中は嫌な予感でいっぱいになり、不安が心を覆い尽くす。
運転する横顔が泣いていたように見えたのは、一度会った時の印象が強いせいなのか、視力の良さのせいなのか……。
その答えがわからないままハンドルを握る手に力がこもり、唇を噛みながら瞼を閉じた。
英二さんに会うのが、怖い。
彼に会えば泣きたくなるような気がして、ブレーキに置いたままの足を動かすことができない。
心を埋める不安と恐怖に怯み、このまま引き返してしまいたくなった。
無意識のうちに止めていた息を吐いた瞬間、心臓がドクドクと脈打ち始めた。
すれ違った車には、見覚えがあった。
ブラウン系の可愛らしいフォルムの、軽自動車。
それを見たのは一度だけだったけど、忘れられるはずがない。
みちるさん、だったよね……?どうして?
疑問符が飛び交う頭の中は嫌な予感でいっぱいになり、不安が心を覆い尽くす。
運転する横顔が泣いていたように見えたのは、一度会った時の印象が強いせいなのか、視力の良さのせいなのか……。
その答えがわからないままハンドルを握る手に力がこもり、唇を噛みながら瞼を閉じた。
英二さんに会うのが、怖い。
彼に会えば泣きたくなるような気がして、ブレーキに置いたままの足を動かすことができない。
心を埋める不安と恐怖に怯み、このまま引き返してしまいたくなった。