狡猾な王子様
もともと、私はこんな風に話すのは得意ではない。


人の話を聞く方が好きだし、口下手だからアドバイスや意見をするのだって苦手なのだ。


だから、こうして対峙するかのように話している今はとっくにキャパシティを越えていて、気がつけば穏やかだったはずの心は平静を装うことに必死だった。


それでも、今さら怯むわけにはいかない。


「わ、わかってます……。私には関係ないって」


「じゃあ──」


「でもっ……!」


英二さんの声を遮った私に、彼がほんの一瞬だけ体を強張らせたような気がした。


思っていた以上に大きな声が出たことに自分でも驚いたから、英二さんもそうだったのかもしれない。


だけど、今はそんなことを考えている余裕はなくて、隙を突くようにして続けた。


「この間、英二さんのおばあさまにお会いしたんです」


「え……?」


明らかな動揺を見せた彼の瞳が揺れ、声を小さく漏らしたあとは言葉を失ったように無言になり、信じられないと言わんばかりの表情で私を見た。

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