狡猾な王子様
段ボール箱の重みが両腕に加わると、心がますます沈んで、足取りまでも重くなった。
深呼吸をしたつもりがため息になり、思わず足が止まってしまいそうだったから、嫌なことはさっさと済ませて帰ろうと決めて歩く。
ドアの前では躊躇わずにはいられなかったけど、もう逃げることはできないのだと自分自身に言い聞かせてドアを開けた。
「こん──」
「最低っ……!」
その瞬間、私の声を遮るように大声が響き、一瞬遅れてパンッと乾いた音が耳に届いた。
咄嗟に挨拶を飲み込んだ私は、瞳に飛び込んできたばかりの光景に言葉を失った。
段ボール箱を落とさないためか無意識のうちに両手に力を込めていたけど、その指先は驚きのあまり小さく震えている。
「冬実ちゃん……」
たった今、頬を叩かれたばかりの英二さんが先に私に気づいて気まずそうな顔をし、その声に反応した佐武さんも彼から顔を背けるようにこちらを見た。
ふたり分の視線に捕らえられた私は、体が強張って息を止めてしまいそうだった。
深呼吸をしたつもりがため息になり、思わず足が止まってしまいそうだったから、嫌なことはさっさと済ませて帰ろうと決めて歩く。
ドアの前では躊躇わずにはいられなかったけど、もう逃げることはできないのだと自分自身に言い聞かせてドアを開けた。
「こん──」
「最低っ……!」
その瞬間、私の声を遮るように大声が響き、一瞬遅れてパンッと乾いた音が耳に届いた。
咄嗟に挨拶を飲み込んだ私は、瞳に飛び込んできたばかりの光景に言葉を失った。
段ボール箱を落とさないためか無意識のうちに両手に力を込めていたけど、その指先は驚きのあまり小さく震えている。
「冬実ちゃん……」
たった今、頬を叩かれたばかりの英二さんが先に私に気づいて気まずそうな顔をし、その声に反応した佐武さんも彼から顔を背けるようにこちらを見た。
ふたり分の視線に捕らえられた私は、体が強張って息を止めてしまいそうだった。