狡猾な王子様
「おかえり」
「えっ?えっと……」
木漏れ日亭の店内に戻ると厨房の中にいた英二さんから優しい笑顔に迎えられ、戸惑いながらも「ただいま……です」とぎこちなく微笑んだ。
彼の表情はどこか曇っていて、笑っているはずなのに悲しげに見える。
理由はわかっているから触れることはできなくて、せめていつものように振る舞うべきなのではないかと思い至り、カウンターテーブルに置いたままにしていた段ボール箱を持って奥に進んだ。
「置きっ放しにしてすみませんでした」
「俺の方こそ、また変なところを見せちゃってごめんね」
英二さんは淹れたての紅茶をテーブルに置くと、申し訳なさそうに眉を寄せた。
「いえ……。私は大丈夫ですから、気にしないでください」
「……ありがとう。片付けるから、それ飲みながら少し待ってて。今日はブラックチェリーティーなんだ」
上手く笑えなかったとは思うけど、彼がフッと小さな笑みを零したから、お礼を言って甘い香りを漂わせるティーカップに口をつけた。
「えっ?えっと……」
木漏れ日亭の店内に戻ると厨房の中にいた英二さんから優しい笑顔に迎えられ、戸惑いながらも「ただいま……です」とぎこちなく微笑んだ。
彼の表情はどこか曇っていて、笑っているはずなのに悲しげに見える。
理由はわかっているから触れることはできなくて、せめていつものように振る舞うべきなのではないかと思い至り、カウンターテーブルに置いたままにしていた段ボール箱を持って奥に進んだ。
「置きっ放しにしてすみませんでした」
「俺の方こそ、また変なところを見せちゃってごめんね」
英二さんは淹れたての紅茶をテーブルに置くと、申し訳なさそうに眉を寄せた。
「いえ……。私は大丈夫ですから、気にしないでください」
「……ありがとう。片付けるから、それ飲みながら少し待ってて。今日はブラックチェリーティーなんだ」
上手く笑えなかったとは思うけど、彼がフッと小さな笑みを零したから、お礼を言って甘い香りを漂わせるティーカップに口をつけた。