狡猾な王子様
「……みちるのことは、ずっと好きだった」
胸の奥がズキリと痛んだのは、不可抗力。
未練がましいけど、私はまだ英二さんへの想いをほんの欠片もなくせずにいるから、彼の本気の恋の話を聞かされるのはつらかった。
それでも、真剣に語る英二さんから目を逸らしたままでいるのは心苦しくて、小さな深呼吸をしてから視線を戻すと、彼が優しい笑みを浮かべた。
「みちるは俺よりひとつ年上で、実家が贔屓にしてる和菓子屋の娘なんだ。実家同士の関係上、子どもの頃からよく一緒に過ごしてて、俺は自然とみちるのことを好きになっていたんだけど、みちるはずっと兄貴が好きだったんだ」
私の気持ちを察しているのか、英二さんは「見事な三角関係だよね」と自嘲して見せる。
三人の関係の行方はもう知っているからなにも言えずにいると、自嘲に切なさが加わったような、なんとも言えない顔をされてしまった。
「今の関係は、冬実ちゃんも知ってる通りだよ」
ただ、続けてそう零した彼の瞳には、穏やかさが戻っていた。
胸の奥がズキリと痛んだのは、不可抗力。
未練がましいけど、私はまだ英二さんへの想いをほんの欠片もなくせずにいるから、彼の本気の恋の話を聞かされるのはつらかった。
それでも、真剣に語る英二さんから目を逸らしたままでいるのは心苦しくて、小さな深呼吸をしてから視線を戻すと、彼が優しい笑みを浮かべた。
「みちるは俺よりひとつ年上で、実家が贔屓にしてる和菓子屋の娘なんだ。実家同士の関係上、子どもの頃からよく一緒に過ごしてて、俺は自然とみちるのことを好きになっていたんだけど、みちるはずっと兄貴が好きだったんだ」
私の気持ちを察しているのか、英二さんは「見事な三角関係だよね」と自嘲して見せる。
三人の関係の行方はもう知っているからなにも言えずにいると、自嘲に切なさが加わったような、なんとも言えない顔をされてしまった。
「今の関係は、冬実ちゃんも知ってる通りだよ」
ただ、続けてそう零した彼の瞳には、穏やかさが戻っていた。