センチメンタル*宅配便


「今日はさ、防波堤まで散歩しようよ」

 
君がそんな提案をした。

 
沖に向かって突き出た防波堤まで、浜辺を歩き、波を音を聞きながら、時々月を眺めた。


足元を照らすのが月明かりのみで、防波堤の先まで来て、後ろを振り返ると、ぽつぽつと電灯が並ぶ通りから、随分離れていた。

 
「何か、こうして見ると海面に立ってるみたいだね」

 
君が私の目の前で両手を広げ、空を仰いだ。

 
「そうだね、きっと今、浜辺を散歩している人が私たちを見たら、海の上に人が立ってると思うかもね」

 
そう言って私たちは笑い合った。


 

「ねぇ、満月の夜に、どうやってあの四辺形の星座まで行くの?」

 
「満月の夜になると、海面からすぅと梯子が伸びてくるんだよ。その梯子を上っていって、星座が作る四辺形の中に飛び込むのさ」

 
飛び込んだ先がブラックホールのトンネルになっていて、行き着く先はクルックポーだ。



「私も一緒にクルックポーには行けないの?」

 
「そうできたらいいんだけどね、地球人はブラックホールの重力に耐えられないんだ。入ったら最後、体がバラバラになって宇宙の塵になってしまう」


悲しそうに君は私を見つめた。


そうなんだと私は少し残念な気持ちになる。

 
海の上にある防波堤の上を風がびゅうびゅうと吹いていた。


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