センチメンタル*宅配便


海の上だからか、遮るものがないからか、風は冷たく、私の体温を奪う。


手袋を持ってくればよかったかな?指先の感覚がなくなってきそうで、吐息で温める。


私の様子を見て君は、

 
「寒いの?」

 
と訊ねてきた。


「少し」と返すと君はルビー色の瞳で私を覗き込む。


君はパーカーのポケットに突っ込んでいた両手で、私の両手を包んだ。


初めて触れる君の手は女の子の手のように華奢だった。


長くて細い指、手も白く透き通っている。


けれど君の手はとても温かい。

 
お互いが向い合うような形で、手を握っている。


日々、光を増す月明かりが君の銀色の髪を輝かせていた。


キレイだと思った。


君に触れていたい。


お互いに見つめ合い、暫らく沈黙が流れる。


君の赤い瞳に吸い込まれそうな感覚に陥る。


どちらからでもなく、私たちは唇を重ねた。

 
彼に触れたら、自分の体が熱くなるのが解った。


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