センチメンタル*宅配便
今日は月は見れないのかな?
もし明日も雨で、月が雲に覆われて見えなかったら、君はクルックポーに帰らないのかな?
バカなことを考えていた。
今日は出かける気分になれず、夜が来るまでだらだらとホテルの部屋で過ごした。
夜になっても天気予報通りに雨が降っていた。
今日は君は現れないかもしれない・・・少し弱気な気持ちで傘を開き、浜辺へと向かう。
ホテルを出、ガードレールに沿って歩いて行くと、波の音が聞こえてきた。
雨音が重なる。
夜空を見上げても、月は出ていない。
いつもより闇が深い。
浜辺へと降りる階段の手すりに手を付くと、真下には君が立っていた。
傘も差さずにずぶ濡れで、君は私を見つけて微笑んだ。
「よかった。今日は来てくれないかもって思ってたんだ」
「傘も差さずに待ってたの?寒くない?風邪引くよ」
慌てて階段を駆け下り、君に傘を差し出す。
「寒くないし、クルックポー人は病気にならないよ」
君は赤い瞳を細くして笑った。
雨に濡れた君にせめてと何の足しにもならないかもしれないけれど、巻いていたストールを君の首にぐるぐる巻いた。