センチメンタル*宅配便


「お姉さんの匂いがする」と君は嬉しそうにストールに顔を埋めた。


そんな君の様子に少しときめいてしまう。

 
「今日は帰ろう。雨だし、雨宿りできそうなところってないし。君、ずぶ濡れだし・・・傘、持ってっていいから・・・」

 
君の手に傘の柄を握らせる。


君はじっと私を見ていた。


吸い込まれそうな赤い瞳。


傘が君の手から離れ、浜辺に転がっていった。


突然のことでびっくりした。


君に抱きしめられた。

 
「・・・明日で最後だから、今日はずっと一緒にいたい・・・」

 
君が耳元で呟いた。


じっとりと雨に濡れた君の体は冷たかったのに、君の吐息がかかる耳元は、そこに心臓があるのかと思う位、熱く脈を打った。


そっと、君の腰に手を回す。


細くて、ぎゅっと抱きしめたら壊れてしまうかもと思った。

 
トクン・・・トクン・・・

 
雨の音と波の音。


そして、響く鼓動は私のもの?それとも君のもの?

 
「・・・じゃあ、私のホテルに来る?」


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