センチメンタル*宅配便
やっとの思いで言葉にすると、君は頷いた。
シャワーを浴びると、ホテルの備品である浴衣に君は着替えた。
女性用の浴衣だったけれど、小柄で華奢な君には丁度良かった。
「おいで、髪を乾かしてあげる」
ベッドの向かい側にある大きめの鏡の前に君を座らせ、ドライヤーを掛ける。
細くて柔らかい君の髪を乾かしている間、君は気持ち良さそうに目を細めていた。
「お姉さんにプレゼントがあるんだ」
君の濡れた服をハンガーに掛けて干していると、後ろから君が抱き付いてきた。
「何?」と振り向くと、君は私の唇にキスを落としてから、「これだよ」と本を差し出した。
「星の本?」
それは季節ごとに見られる星座と神話をまとめた図鑑のような本だった。
少し汚れているのは、君のお古だからだろうか?
「これ、ボクがここに来た時に買ったんだよ。ボクはもう星に帰るし、これはお姉さんに託すよ。お腹の所に挟んでたんだ。濡れてなくてよかったよ」
「ありがとう」
君の好意をありがたく受け取った。
ぱらぱらとページを捲る。
そういえば、君は地球にいる間、お金はどうしているんだろう?ふと疑問が湧いたけど、鳩を出す君のことだから、おとぎ話の狐が葉っぱを小銭に変えるように、海で拾った貝殻をお金に換えるのかもしれないなと勝手に想像した。