センチメンタル*宅配便


「本当は、始めからちょっと怪しんでたんだ。若い人なんてこの辺じゃ見かけないし、海を見ているお姉さんの表情があまりにも辛そうだったから」

 
だから、声を掛けた。

 
「ボクは地球の人間じゃないし、お姉さんの悩みを聞いた所でクルックポーに帰るのが決まっているから助けるのもできない。せめて、ボクがここにいる間、お姉さんを笑わせたいなって思ったんだ」

 
君はパーカーのポケットに両手を突っ込んで、ゆっくりと海の方へと歩き出した。

 
「ボクの企みは大成功だったけれど、ボクにも気持ちの変化が起きた。お姉さんと会って話してる内に、お姉さんを愛しいと思うようになったんだ。お姉さんがもし死んだら、ボクは悲しいよ。お姉さんはボクが悲しんでも平気かい?」

 
こちらを振り向いた君が悲しそうな顔をした。


嫌だ、君にはいつも笑っていてほしい。


私は立ち上がり、君の元へ駆け寄ると、君の背中をぎゅっと抱きしめた。

 
「ごめん・・・」

 
掠れた声で呟くと君は私の両手を握りしめた。


「星を見てみてよ、お姉さん。宇宙にはさ、何兆個って数え切れない星があるんだよ。ここでこの瞬間に同じ星空を見てるのって、すごい奇跡だと思うんだ。だからボクはお姉さんと離れてもこの奇跡を忘れないよ。ボクらは1つの宇宙で繋がってるんだ」

 
「うん」

 
私は頬を君の背中に押し付けて頷いた。


君は振り返ると、

 
「ありがとう、ボクに初恋を教えてくれて」


と微笑んだ。


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