センチメンタル*宅配便
結局、君は何者だったのだろうか?
私が目を閉じている間にこっそりと夜の街に消えたのだろうか?
それとも、やっぱり君はクルックポー人で今はブラックホールに飲まれ、君の生まれた星に帰ったのだろうか?
視界が涙で滲んで、星空がぼやけて見えた。
君からもらったペンダントを握りしめ、あの日、君が奏でた口笛を真似してみた。
自分が思ってた以上に情けなくてか細い口笛だった。
鳩は私の前に現われてはくれなかった。
本当は君が旅立つのを見送ったら、私は睡眠薬を飲んで夜の海に漂おうと思っていた。
そのために身辺整理して、最低限の荷物だけを持って、最後の旅行に出たのだ。
けれど、君に出会って、君を過ごした1週間を思い出すと、甘くて切なくて、忘れていた恋する気持ちを思い出させてくれた。
君との思い出を噛みしめて、君がクルックポーから見守ってくれているのなら、もうちょっと私の人生を頑張ってみようと思った。
遠い宇宙の彼方から来た不思議な君は、私に前に一歩踏み出す勇気をくれた。
トランクを引きながら、人気のない駅のホームのベンチに腰を下ろした。
電車が来るまで後15分程。
ホームには私の他には誰もいなかった。