もしも私が―。

「だって、そうでしょう?友達が死んで辛いのは分るわ。でも――」     

「わかる?分るわけない!福崗さんなんかに分るわけない!」

「分るわよ!充分すぎるほど分るわ」

「何で?」

「何で?私は刑事よ!仲の良かった仲間が殉職したこともあるわ!
 私の目の前で、麻薬づけの男に刺された仲間だっているわ。
 犯人の車に轢かれた仲間だって……でもね、そのたびにクヨクヨして、もう刑事なんて辞めるなんて泣いてたら、キリないのよ。
 それよりも犯人捕まえて、ちゃんと私の仲間を傷つけた罪を、もう充分だってくらい償ってもらうのその後で大泣きしたって、遅くないもの。今私に出来ることを!
 今、私がするのは泣くことじゃない!犯人を捕まえることだ!って、いつだってそうして来たわ。
 仲間に顔向けできるようにね。でも、あなたがそんなにイヤなら」

「――ごめんなさい」

「え?」

「私、重要なこと忘れてた。
 お母さん達が死んだ時、絶対化け物捕まえるって決めたの。
 友未が死んで悲しいし、まだちょっと実感わかないけど、でも、負けちゃダメだよね?
 私が夢見て捕まえなきゃ、また被害者出ちゃうもんね」

「そうね……あなたは偉いわ。まだ小さいのに。ごめんなさいね」

「小さいって、私もう中学二年生ですよ!」

「そうね、ごめんなさい」

 そう笑いながら言って、電話が切れた。
 私は逃げていたんだね。

 今、私に出来ることを、精一杯やろう!そう気合を入れてベットの上で眠くなるのを待った。



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