上司のヒミツと私のウソ
「西森さんは、安田さんと仲がいいんですよね……?」

 返答に困る質問だ。

 安田とは同じ部署だし席も近いし、なんとなく一緒にいて話す機会が増えたけど、お互いのプライベートについてはなにも知らない。


 松本さんは視線をテーブルの上に這わせたまま、遠慮がちに続ける。


「なんかちょっと意外っていうか……その、安田さんって、今までいつもひとりだったし、単独行動が好きなのかなっておもってたんです。でも、西森さんとは、一緒にランチ食べたりしてるから」

「それは、たまたまっていうか。年も近いし」

「気が合うんですね」


 それはどうだろう。

 面白がられているだけのような気もするけど。


「安田さんって、その……付き合ってるひと、とか、いるんですか?」


 えっ、なに。この展開。意味がわからない。


「さあ、ねえ。どうだろ。それは私も知らないなあ」

「そうなんですか」

 そのまま、松本さんは視線を泳がせて黙り込んでしまった。


「あのうわさ、本当だとおもいます?」


 見かねたように、荒谷さんが身を乗り出して聞いてきた。
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