上司のヒミツと私のウソ
「だからって、二人が付き合ってるってことにはならねえだろ。たまたま帰る方向が同じだったのかもしれないしさ」

 適当な口ぶりでいったのは、とっくにAランチを完食した三好くん。この話題を早く切り上げたくてしかたがないらしい。


「矢神課長と安田さんは反対方向だもん。ですよね?」

 今度は私に確認する。そんなこと聞かれても知らない。


 私は「そうだっけ」と軽く笑いながら答える。気づいたら心臓の鼓動が激しくなっている。顔に出ていないかと心配になった。


「そうですよ。それに、決定的な証拠もあるんです」

「証拠?」

「つぎの日、安田さんの着てる服が前の日とまったく同じでした」

「そういう日もあるんじゃねえの」

「ないよ。安田さんだよ? 一〇〇パーセント、ない」


 荒谷さんは断言する。

 確かにありえない。安田がファッションにこだわりを持っていることは、誰の目にも明らかだ。二日続けて同じ服を着るなんてこと、安田は絶対にしない。たぶん、よほどの理由がない限り。

「本当かどうか確かめたいんですけど、なんとなく聞きにくくって。安田さん、みんなで雑談とかしないひとだし」
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