上司のヒミツと私のウソ
「そういえば、たまに喫煙ルームで見かけるけど、いつもひとりで……ちょっと声、かけづらい雰囲気なんだよなあ」
三好くんのその発言には、かなり驚いた。
安田が喫煙ルームを使っていたなんて初耳だ。でも驚いているのはどうやら私だけのようで、荒谷さんも松本さんも当然のごとくうなずいている。
社内は禁煙なのだけれど、フロアごとにわずかながらも喫煙スペースが設けられている。
利用者は主に男性社員で、仕事の上では直接付き合いのない部署の人間が集まる、影のコミュニケーションスペースになっていた。そういうことからも、女性社員が足を踏み入れにくい場所でもあるのだ。
安田は、自分が喫煙者であることを隠さないばかりか、女だからと負い目に感じたり、遠慮したりはしていないのだ。
模範的な女性社員を演じるために、必死で喫煙していることを押し隠してきた自分が、ひどく小さな弱い存在におもえた。
「西森さんなら、本当のことを知ってるのかなっておもったんですけど」
荒谷さんがまた好奇の目を向けてくる。私は知らないというかわりに首を横に振った。
「確かめてどうすんだよ。お宅らには関係ないだろ」
「だって知りたいんだもん。気になるじゃないですか、ね?」
お願いだから、私に振らないでほしい。
三好くんのその発言には、かなり驚いた。
安田が喫煙ルームを使っていたなんて初耳だ。でも驚いているのはどうやら私だけのようで、荒谷さんも松本さんも当然のごとくうなずいている。
社内は禁煙なのだけれど、フロアごとにわずかながらも喫煙スペースが設けられている。
利用者は主に男性社員で、仕事の上では直接付き合いのない部署の人間が集まる、影のコミュニケーションスペースになっていた。そういうことからも、女性社員が足を踏み入れにくい場所でもあるのだ。
安田は、自分が喫煙者であることを隠さないばかりか、女だからと負い目に感じたり、遠慮したりはしていないのだ。
模範的な女性社員を演じるために、必死で喫煙していることを押し隠してきた自分が、ひどく小さな弱い存在におもえた。
「西森さんなら、本当のことを知ってるのかなっておもったんですけど」
荒谷さんがまた好奇の目を向けてくる。私は知らないというかわりに首を横に振った。
「確かめてどうすんだよ。お宅らには関係ないだろ」
「だって知りたいんだもん。気になるじゃないですか、ね?」
お願いだから、私に振らないでほしい。