上司のヒミツと私のウソ
 なんだか落ち着かない。付き合っていたころは、しょっちゅうこうして二人で食事をしていたのに、まるで今日はじめて向き合ったような気がする。


 あのころの私たちがどんな話をしていたかも思い出せない。四か月もの間、私と矢神はどんな話をしていたんだろう。

 矢神が煙草を吸い始めた。もう私を見ていない。しらけたような顔で横を向き、ほかのテーブルの客を見ている。


 二人とも無言のまま、時間が過ぎる。


 律子さんは話し合えといったけれど、こんな気まずいムードでいったいなにを話し合えと?





「人事部にもどりたいのか」

 口火を切ったのは矢神のほうだった。しかもかなり唐突な切り出し方。こんなこといきなり聞かれても即答できるはずがない。
< 148 / 663 >

この作品をシェア

pagetop