上司のヒミツと私のウソ
「す、すみませんっ。この前来たとき、本当のことがいい出せなくて、つい」
「ま、あのひとのことだからなにをいっても無駄だろうけど。思いこみ激しいから」
矢神は火をつけていない煙草を指に挟んだまま、しきりに耳のうしろをさわっている。私と目を合わせようとしない。
「話をもとにもどすとだな」
クラスの女子全員に糾弾されたという話はぜひ詳しく聞いてみたかったのだけれど、矢神が話すわけもないので諦めることにする。機会があったら律子さんにこっそり聞いてみよう。
「要するに、企画を中止することは絶対にない。たとえば俺の代わりに佐野を担当にしてもいい。それでも人事にもどりたいか?」
矢神の目は真剣だった。
その目に切実な色が滲んで見えた。
戸惑いを隠せず、私が黙っていると、矢神はふたたび目を逸らして煙草をくわえた。
眉間の皺がどんどん増えていく。そしてたぶん本人は無意識だろうけど、また耳のうしろをさわっている。
「ま、あのひとのことだからなにをいっても無駄だろうけど。思いこみ激しいから」
矢神は火をつけていない煙草を指に挟んだまま、しきりに耳のうしろをさわっている。私と目を合わせようとしない。
「話をもとにもどすとだな」
クラスの女子全員に糾弾されたという話はぜひ詳しく聞いてみたかったのだけれど、矢神が話すわけもないので諦めることにする。機会があったら律子さんにこっそり聞いてみよう。
「要するに、企画を中止することは絶対にない。たとえば俺の代わりに佐野を担当にしてもいい。それでも人事にもどりたいか?」
矢神の目は真剣だった。
その目に切実な色が滲んで見えた。
戸惑いを隠せず、私が黙っていると、矢神はふたたび目を逸らして煙草をくわえた。
眉間の皺がどんどん増えていく。そしてたぶん本人は無意識だろうけど、また耳のうしろをさわっている。