上司のヒミツと私のウソ
「そういうのって、各部署でバラバラに考えるものなんですか? 私、自分で企画を考えていたとき、そこのところにすごく違和感を感じたっていうか……どういう商品なのかもわからないまま企画を考えるのが、ちょっと大変だったから」


「あー……」

  矢神はふと冷めた目をして、静かに両腕を組んだ。


「以前はそうじゃなかった。つまり、各部署からメンバーを集めてプロジェクトチームを作って、初動からチームで対応するっていう……」

 言葉を句切って、それきり黙りこむ。


「以前って、『一期一会』のときですか?」


 私が勢いこんで聞くと、矢神は嫌なものでも見るように眉をよせてしかめ面をした。


「西森は、ほんっとに『一期一会』が好きだよな」

「……そっ、そんなこと」


 ないです、とは、いえない。

 私の目の前で、矢神が深い溜息をつく。
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