上司のヒミツと私のウソ
「現実味?」

 矢神が平然と聞く。


「そう。都合のいい数字を組み合わせてあるだけや。俺を納得させるためだけに用意したようにしか見えへんな」

 それに、と本間課長は不敵な笑みを浮かべて矢神を見た。


「あんたに働く女性の気持ちがわかるとは、到底おもわれへん」


 矢神は素知らぬ顔でその言葉を無視し、クリアファイルから別の資料を取り出した。本間課長の前に押し出す。

「開発主導で企画を進めた、最近の製品の売り上げ推移です」


 私はぎょっとして矢神を見た。いつのまにそんなものを。


 本間課長はいかにも面倒臭そうに資料をめくり始める。

「ご覧のとおり、どれも芳しくありません。そこまで開発主導にこだわられるのなら、この状況を開発部ではどのように受け止めておられるのか、なにかしら対策を考えておられるのか、ぜひお聞かせ願いたいですね」
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