上司のヒミツと私のウソ
 本間課長の顔から笑みが消えた。

「それは今回の件とは関係ないやろ」

 表情が険しくなり、声が緊張を含んでさらに低くなった。まずい。本気で怒っている。

「私はそうはおもいません。前から開発のやり方には問題があると感じていたんです」

「じゃあその場でいえ」

「聞かないじゃないですか。いつも強引に決めてしまって」

「なにゆうてんねん。強引なんはそっちやろ」

「たとえば? いつ、うちの部が強引に決めました?」

 二人の会話はどんどん本来のテーマから逸れていく。

「昨年の『レッツウォーター』のとき、ほとんど決まりかけてた内容を土壇場でひっくり返した。あのあと開発がどんだけ苦労したとおもってんねん」

「でも売れたじゃないですか」

「もとの企画がよかったからや」

「負け惜しみにしか聞こえませんね」
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