上司のヒミツと私のウソ
「俺はもともとアルバイト採用で入社したクチやったから、あんなエリートに負けてたまるかっておもってたんやけど……。アイツとはじめていい合ってみて、これはどうもエリートやないな、と。とことん付き合ってみるのも面白そうやとおもって」


 と、本間課長が打ち明けてくれたのは、それからずっとあとのことだったけれど。


「ふーん。うまくいったんだ。珍しいこともあるもんだ」

 安田は今度の企画で二人が組むと聞いて、しきりに感心している。しかもちょっとうれしそう。


 私と安田はひさしぶりに屋上で昼休みを過ごしていた。


 晴れた空から降る陽射しは夏をおもわせる強さだった。貯水槽の下の段差は日陰になっているので、私たちは並んでその段差に腰掛けていた。


「いいこと教えてあげよっか」


 もったいぶった口調で安田がいい、気持ちの悪い笑みを私に向ける。
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