上司のヒミツと私のウソ
 二時まであと三十分しかない。


 私はいそいでミーティングルームを予約し、封筒の中身をチェックした。

 安田麻琴は契約社員のため、今月末で半年間の契約期間が切れるのだ。問題視されている割には、矢神課長は毎回彼女の契約更新を早めに申告してくる。


 矢神課長と安田麻琴は二時きっかりに現れた。

 私は二人をミーティングルームに案内し、書類を渡して淡々と更新の説明を始めた。といっても毎回のことなので、詳しく話す必要はない。

 契約書に記入してもらう項目と提出期限を伝え、雑談程度に近況を報告してもらう程度だ。説明は十分程度で終わった。


「安田さん、最近は欠勤が多いようですけど、お体の具合でも悪いのですか」

「いいえ」


 それとなく釘を刺しておいてくれと佐藤部長からいわれたので触れたのだけれど、彼女のふてぶてしい態度は上司の前でも相変わらずで、とりつく島もなかった。

 矢神課長はというと、隣で苦笑いを浮かべていたような気がする。
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