上司のヒミツと私のウソ
「あんた、『一期一会』の──三年前に放送された番組がきっかけで、この会社に入ったっていってたけど」
いきなり話題が飛んだので、私はすぐに頭を切り換えることができなかった。矢神は私の無反応を気にすることなく、煙草を吸いながら話を続けた。
「俺もあのとき、この仕事を続けようとおもったんだ」
「……え」
「注目を浴びたからとか、そういうんじゃないぞ。『一期一会』は今でこそ緑茶の定番ブランドになったけど、プロジェクトがスタートしたときは前途多難で、いろいろ大変だったし苦労も多かった。でも製品ができあがったとき──それが多くの人に届いて、喜んでもらえたとき、やっぱり間違ってなかったとおもった」
さっきから、矢神はずっと私を見ない。
「だから……あんたが企画をやりたくて俺に近づいた気持ちも、少しはわかる気がする」
矢神がなぜ急にそんな話をしだすのかわからなかった。黄昏のように薄暗い不安が、胸を浸していく。
いきなり話題が飛んだので、私はすぐに頭を切り換えることができなかった。矢神は私の無反応を気にすることなく、煙草を吸いながら話を続けた。
「俺もあのとき、この仕事を続けようとおもったんだ」
「……え」
「注目を浴びたからとか、そういうんじゃないぞ。『一期一会』は今でこそ緑茶の定番ブランドになったけど、プロジェクトがスタートしたときは前途多難で、いろいろ大変だったし苦労も多かった。でも製品ができあがったとき──それが多くの人に届いて、喜んでもらえたとき、やっぱり間違ってなかったとおもった」
さっきから、矢神はずっと私を見ない。
「だから……あんたが企画をやりたくて俺に近づいた気持ちも、少しはわかる気がする」
矢神がなぜ急にそんな話をしだすのかわからなかった。黄昏のように薄暗い不安が、胸を浸していく。