上司のヒミツと私のウソ
 矢神に会ったらどんな顔をすればいいのか。

 どうやって話しかければいいのか。

 なにから聞き出せばいいのか。

 どんな言葉と態度なら私の気持ちが伝わるのか。


 そんなことを、一晩中ぐるぐる考えつづけていた。

 そして確かなこたえも出ないうちに窓の外が白みはじめて、うとうとしていると目覚まし時計が鳴った。

 矢神は明後日までもどらない。

 それまで顔を見ずにすむことに、私はほっとしている。


 強烈な視線を感じて顔を上げると、安田が食いつくように見つめている。

「なに?」

「楽しかったわよ、台湾」

 こちらを見つめたまま、安田はにこりともせずにいった。

「そう、よかったじゃない。おみやげは?」

「あんたはあまり楽しくなかったみたいね、連休」

「……」

 だから、どうして毎回そんなに鋭いのよ。
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