上司のヒミツと私のウソ
彼の住むマンションまでは、一時間ほどかかった。夜ということもあって駅からマンションにたどり着くのに少々迷い、ようやくマンションを見つけたときには、九時をまわっていた。
一瞬、こんな時間にいきなり訪ねるなんて迷惑ではないだろうかというおもいがよぎったけれど、頭を振って弱気の虫を追い払う。
マンションはオートロックシステムではなかった。彼が住んでいる部屋の前まできて、またためらう。
せめて電話くらいしておいたほうがよかったかもしれない。でも、携帯電話はアパートに置いてきてしまった。
意を決してドアチャイムを鳴らした。
数秒後、ドアホンから「はい」と応える掠れた声が聞こえた。
「……西森です」
返事はなかった。ドアホンの向こうから、明らかなためらいが伝わってくる。
「ちょっと待っててください」
数分後、ドアが開いた。
シャツにスラックスという、仕事から帰ってネクタイを解いただけという格好で彼は玄関先に現れた。そしてそのまま廊下に出ると、後ろ手にドアを閉めた。
一瞬、こんな時間にいきなり訪ねるなんて迷惑ではないだろうかというおもいがよぎったけれど、頭を振って弱気の虫を追い払う。
マンションはオートロックシステムではなかった。彼が住んでいる部屋の前まできて、またためらう。
せめて電話くらいしておいたほうがよかったかもしれない。でも、携帯電話はアパートに置いてきてしまった。
意を決してドアチャイムを鳴らした。
数秒後、ドアホンから「はい」と応える掠れた声が聞こえた。
「……西森です」
返事はなかった。ドアホンの向こうから、明らかなためらいが伝わってくる。
「ちょっと待っててください」
数分後、ドアが開いた。
シャツにスラックスという、仕事から帰ってネクタイを解いただけという格好で彼は玄関先に現れた。そしてそのまま廊下に出ると、後ろ手にドアを閉めた。