上司のヒミツと私のウソ
 西森の考えていることは、よくわからない。


 当初は、西森がいつか墓穴を掘るのではないかと気がかりだった。

 本人はうまくやっているつもりなのかもしれないが、ここまで堂々と煙草を吸っておいて、「バレない」と本気でおもうほうがどうかしている。


 屋上で“休憩”するのが俺たちだけとは限らない。いつ鉢合わせることになるかもわからない。こんなことを続けていたら、いつか、必ず、バレる。

 で、しかたなく俺も屋上で煙草を吸うことにしたのだ。いざというときは身代わりになればいい。そうおもったのだが。


 西森も、ようやく自分のうかつさに気づいたのだろうか。

 それで煙草をやめたのなら、賢明な選択といえる。こちらも晴れてお役御免だ。


 さりげなく西森を盗み見ると、眠たそうな目をして、まだぼーっと空を見ている。

──やっぱ、なんにも考えてねえな。

 溜息をもらす。


「なんなんですか」

 西森の顔が急にこちらを向いた。じろっと俺を睨む。
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