上司のヒミツと私のウソ
「さあな。俺も最近行ってないから知らん」

「薄情ですね、恩師なのに」

「恩師だからって毎日通えるか」


 腕時計を確認する。あと五分で昼休みは終了だ。


「そろそろもどるぞ」

「えーっ、もうそんな時間ですか? だるいなあ……」


 西森はうんざりしたように大きなあくびをすると、七月の空に向かって両手を上げ、全身で伸びをした。

 その拍子にシャツのすそが持ち上がって、すきまからやわらかそうな白い素肌が見えた。


──息抜きだからって、隙がありすぎるだろ。

 目をそらして溜息をつく。


 社内ではお嬢様然として完璧に振るまうくせに、ここに来ると一転して隙だらけだ。危なっかしくて見ていられない。

 お役御免は、もう少し先送りしたほうがいいかもしれない。
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