上司のヒミツと私のウソ
 ソファの背にぐったりともたれて、ぼそりという。俺は彩夏の隣に腰を下ろした。


「なんかね。急に庸介くんに会いたくなったの。別に意味はないんだけど、ほら、庸介くんの会社のひとのことも気になってたし……」

「そんなこと、彩夏が心配する必要ないだろ」

「どうして?」

 彩夏は真顔で俺を見つめ返した。


 その目は、怒っているようにも悲しんでいるようにも、責めているようにも見える。

 たぶんどれも当たっているのだろう。本人は意識していないのだが、彩夏はすぐに感情が表に出る。


「もとはといえば俺が自分で蒔いた種だ。彩夏が気にする必要はないよ」

「水くさいよ、庸介くん」


 いきなり、彩夏が俺の背広の襟を両手でつかんで引きよせた。


「私は、ずっと庸介くんの味方だよ。今までも、これからも、だれがなんといおうと──隼人がなにをいおうと、私は味方なんだからね。わかってる?」

 至近距離で見る彩夏の顔は、どこかぼんやりしている。
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